つくば市議会議員 金子かずお


週刊・新社会つくば
2008年12月02日 第631号 発行:新社会党つくば支部

加藤晋介弁護士を迎え 平和の集いが開催される


憲法を生かす会・茨城の主催による平和憲法の集いが去る十一月三日(月)、水戸市民会館で開催されました。

講師は鉄建公団訴訟主任弁護人で、司法試験予備校の辰巳法律研究所の主任講師である、加藤晋介さんが「日本国憲法の原理と歴史」のタイトルで次のように講演を行った。

<「主権」とは生殺与奪の権利>

日本国憲法は国民主権と人権尊重、平和主義の3原理から成り立っている。

明治憲法では天皇主権となっており、「主権」とは生殺与奪の権利を持つということ。国民主権といっても、「国民」が個人、人民を示す意味か、国を単位とする実質的なエリート集団の主導を意味するのかで大きく違う。

<「公共の福祉」と「公益」の違い>

明治憲法では人権ではなく「臣権」であった。

「公共の福祉」とは人が人として共存する、他人を害しない、そのためには経済的な自由は制限するということだが、自民党などが改憲案で使っている「公益」は国防、産業、国家の名の下に、経済だけでなく生存・思想・信条・政治・文化などすべての自由を制限する事に道を開こうとするものである。

<日本は平和主義を選択>

「公共の福祉」は、一般的には外交、警察、消防などとともに軍事も入るものと解される。しかし、近代戦争が軍隊だけでなく国民総力戦の様相に変化した事態を踏まえ、日本は憲法9条において非戦・非軍事・平和主義を選択したのである。

<占領軍による日本民主化構想>

戦後、占領軍による日本民主化構想は、グランドデザインとして日本国憲法があり、農村民主化構想として農地改革と農協法、経済民主化構想として財閥解体と株主民主主義(独禁法9条)、職場民主化構想として労組法、労基法、戦犯追放による社会民主化、次世代育成のための教育基本法があった。

しかし、東西冷戦の激化と朝鮮戦争、単独講和の中で上記の民主化措置が後退。55年体制といわれる保守合同に対抗して社会党の合同、さらに60年闘争もあったが、高度成長・春闘の定着の中で解釈改憲が進行した。

高度成長の終焉とケインズ政策の破綻による新自由主義の台頭の中で、総評解体・小選挙区制導入・護憲勢力の解体、日本的雇用の解体と規制緩和が進み、改憲派が国会議席の圧倒的多数を占めるに至った。

<改憲勢力の弱点>

しかし、改憲勢力の弱点は、規制緩和による自民党支持基盤の崩壊(農民・公共事業・地方)、格差社会と階級社会出現による不安定化、日本的雇用の解体と雇用責任の放棄・棄民政策の出現にある。中国・インドの台頭、米国の地位低下により、これまでの日米同盟路線も立ち行かなくなっている。


吉永小百合主演 「母べえ」上映会のご案内


太平洋戦争前夜の日本を舞台に、山田洋次監督が戦争に苦しむ人々に思いを馳せながら作った映画の上映です。

日時 十二月二十一日 午前・午後・夜
会場 土浦市民会館
入場料 大人千円 高校生以下五百円
前売り及び問い合わせ・金子かずお迄




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