つくば市議会議員 金子かずお


週刊・新社会つくば
2009年3月17日 第645号 発行:新社会党つくば支部

地方分権と地方議会


水戸市でこの程、茨城県市議会議長会が主催した研修会が開催されました。

講演会の講師は、茨城大学教授の佐川泰弘氏で講演内容は「地方分権と行革時代の地方議会」で主な内容は左記のとおりです。

牛久市議会の杉森弘之議員(新社会党)が参加をしてきましたので、その報告をお願いしました。


地方分権と財政危機

一九九九年の地方分権一括法以来、機関委任事務制度の全廃、地方への関与の縮小・廃止、自治立法権の拡大、地方税財源の充実などが叫ばれ、市町村の合併が進み九九年の3600から一〇年には一七七三へ半分以下に減少したが、実際には地方への財源移譲は遅れ、小泉政権の「三位一体改革」などに象徴的なように、〇三年から〇五年に地方への補助金は4.7兆円、交付金は5兆円も削減され、地方の財政危機と自治体間の税収格差が拡大した。


議会不信の蔓延

財政危機の中で行政改革が叫ばれ、NPM(ニュー・パブリック・マネージメント)にもとづく行政改革=①成果志向、②顧客志向、③市場機構の活用、④分権化、が進められてきたが、その中で政策過程から議会を排除する傾向が強まった。

住民の参画(ガバナンス改革)も議会が萎縮する傾向を強めた。各種世論調査でも議会不信が蔓延し、それに対して議会側は議員定数と議会予算の削減を「回答」としているケースも見られるが、これらは本末転倒である。


二元代表制の意義

地方分権の時代の地方議会のあり方を考える際に、二元代表制の持つ意味をしっかり理解することが大切で、議会も首長も住民が直接選出する機関対立主義は、執行機関と議事機関が協力しつつも緊張関係を保ちつつ政策を決定し、実施するシステムである。


政策立案・監視型議会

議会改革の方向としては、第一に政策立案・監視型議会を目指すべきである。

そのためには、議会による政策方向の表明、政策決定、執行の監視・評価、次の政策方向の表明など、新しい政策サイクルを形成する。議決の際に基本構想に係わる基本計画に関することを議決すべきと追加修正する。党派・会派を超えた討議、研修や政務調査費の充実、議会事務局の体制強化などが求められる。


開放型議会

第二に、開放型議会を目指すべきである。

そのためには、住民参加制度を議会に配置し、議会が住民からの提案を受け取るようにする。議会報告会を制度化する。市議会モニターなどの実施も必要である。

そして、以上の考えを含んだ議会基本条例の制定を追求すべきである。




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