つくば市議会議員 金子かずお


週刊・新社会つくば
2009年5月3日 号外 発行:新社会党つくば支部

憲法アピール


侵略戦争の反省のなかから生まれた日本国憲法が施行62年を迎えた。この間、歴代保守権は解釈改憲を重ね、明文改憲のための国民投票法を来年5月18日に施行しようとしている。

改憲策動は占領下の再軍備とともに始まった。今や憲法が禁じた集団的自衛権や武力行使までなし崩しにしてきた。それは日米安保条約の改定と再定義、変革と再編、有事法制の制定、そしてイラク、インド洋、ソマリア沖と海外派兵の本来任務化が続いた。その焦点に第9条改悪がある。

先の北朝鮮の「人工衛星」打ち上げに見る日本の過剰反応は異常の一語に尽きる。有事即応体制に擬してミサイル防衛システムの稼動訓練を行い、国民の国防意識を煽り、結果として憲法改正(改悪)気運に拍車をかけた。

平和憲法の空洞化は、国民の生きる権利の侵害と表裏一対である。世界を覆う恐慌によってそのことが鮮明になった。「派遣切り」に明らかなように、労働者の「健康で文化的な最低限度の生活の権利」(第25条)がいとも無造作に否定された。高齢者や社会的弱者にとって、よもやの生き苦しい社会となった。

こうした憲法の実態は、日常不断の「勤労の権利・団結権と交渉権」(第27、28条)や「集会・結社及び表現の自由」(第21条)、「思想・良心の自由」(第19条)の形骸化によりもたらされた。国労など闘う労働組合敵視策、何でもない政治ビラ配布活動の弾圧、「日の丸・君が代」の強制など、労働者・国民の憲法で保障された諸権利の破壊を見過ごしてはならない。

国民投票法には3つのハードルがある。国会における憲法審査会の稼動、新憲法草案の制定、衆参両院での改正発議である。その動向は護憲の世論と運動の高まりいかんにかかっている。06年12月に憲法の理念を踏まえた教育基本法改悪を許したあの愚を繰り返してはならない。

今、全国各地で憲法を守るための組織と運動が生まれている。しかし、真に憲法を守り抜こうとするならば、一にも二にも団結して活動することが求められる。護憲政党は、そのための話合いと共同闘争を開始しなければならない。そこから発せられた力強いアピールが憲法を愛する人びとを鼓舞し、改憲阻止の巨大なうねりを生むだろう。

来る総選挙と来年7月の参議院選挙が護憲か改憲かの分岐点となる。そこで護憲の”死に票”を出してはならない。全ての護憲勢力が「改憲阻止」の一点で、歴史的共同闘争を開始する時がきている。

今日の記念日を契機に全国から護憲共同運動を起こそう。

2009年5月3日




(c) Kaneko Kazuo 2009