常陸川水門(逆水門)の柔軟運用を求める
霞ヶ浦の自然を回復し、特に水質浄化と漁業活性化を実現することは、すべての人が望んでいることであります。
そして、逆水門の柔軟運用が、それらの実現にきわめて効果的で、しかもほとんどコストが掛からないという、まさに有効な方法として存在しています。
霞ヶ浦の水質浄化には、湖の富栄養化の原因となる窒素やリンの除去が大きな課題となります。
逆水門の柔軟運用(湖と海との間の生物移動を可能にする管理)によって湖の水産資源の回復を図り、湖と海との間の生物移動を可能にする管理手法のように漁業を活性化させることで、漁獲をとおして魚体に含まれる窒素やリンを湖から除去することが可能となります
NPO法人・アサザ基金の推計によれば、逆水門の柔軟運用による水質浄化効果については、漁獲増にともない年間の窒素を約255トン、リンは約51トン湖から除去することができると予測しています。
湖から窒素やリンを除去する目的で国土交通省が実施している底泥浚渫は、漁獲より除去効率が低い上に、取り出したヘドロの処理に大きな費用がかかり、その効果は専門家からも疑問視されています。
また、すでに1,500億円もの巨費を投じて進められてきた霞ヶ浦導水事業も、取水源である那珂川の水に含まれる窒素やリンが、これまで以上に霞ヶ
浦でのアオコなどの植物プランクトンを増殖させる恐れがあり、結果として霞ヶ浦の水質をさらに悪化させるという研究結果が発表されています。
漁業活性化に関しても、当時の大手シンクのシンクタンクであるUFJ総研は2004年に逆水門の柔軟運用による地域経済効果を予測し、年間193億円の漁業利益増を見込む試算結果を発表しています。
その後、この提案は単に湖の水質浄化や生態系保全への効果のみならず、地域の活性化にもつながるものとして高く評価されることになりました。その内容は、長期的には年間308億円の漁業利益増が見込まれています。
一つの事例で、例えば霞ヶ浦を天然ウナギの産地として再生し、湖のブランド価値を高め、観光を振興させ、雇用の創出などという付加価値も生まれます。
特に、かつては国内最大級のウナギ産地であった霞ヶ浦・北浦を、再びウナギの産地として復活させることは、大きなインパクトを与えると考えます。
世界的に資源量の減少が問題化し希少価値が高まっている天然ウナギや養殖ウナギは、高値で取引されており、地域経済の活性化に寄与することは確実であります。
さらに、逆水門の柔軟運用と併せて植生帯の復元が進めば、湖の生態系や水産資源の回復が確実に進むと確信します。
それは同時に、湖の自浄力を高めることにもつながります。
霞ヶ浦導水も漁業組合関係者による反対運動も取組まれ、逆水門の柔軟運用を求める意見書等を、関係機関や自治体に提出しいく運動も大切であります。
霞ヶ浦の自然を回復させる会が結成
元土浦市長の助川弘之さんを代表にした「霞ヶ浦の自然を回復させる会」が結成されました。