つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば | 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2013年6月18日 第847号 発行:新社会党つくば支部

霞ケ浦導水事業は終わりにしよう


 霞ケ浦導水事業を考える市民活動15周年を記念した集会が、15日に開催された。

 この集会は、霞ケ浦導水事業を考える県民会議が土浦市内で開催したもので、当日、主催者を代表して霞ケ浦導水事業を考える県民会議で共同代表を務めている金子かずおつくば市議が、以下の挨拶を行った。

 国家プロジェクトの水ぶくれ事業費の典型として霞ケ浦開発がありますが、1975年の霞ケ浦導水事業計画の着工からすでに40年に近い歳月が流れ、導水 事業の目的である「水質の浄化」「既得用水の補給」「新規都市用水の開発」の三目標の成果もなく無用な公共事業となっています。

 霞ケ浦導水事業を考える県民会議では、1988年代から当該の導水事業の見直しと凍結の運動を続け、霞ケ浦の再生や環境を大切にするために、多くの市民 の声を集め、素直な意思表示を示していくことが大切だと感じ、「公共事業は止められるか?」霞ケ浦導水事業を考える小冊子を2001年2月に発行するなど アピール活動をしてきました。

 これらの運動に連携し、住民監査請求や住民訴訟にも取り組みましたが、住民訴訟の結果は2004年に敗訴となってしまいました。

 しかし、昨年度には会計検査院が霞ケ浦導水事業の長期化を懸念し、短期に解決しない場合には事業を中止するように指摘をしました。

 このように、様々な取り組みを多くの人々と進める中、二年前の3・11東日本大震災による放射能汚染の現状など課題も新たに出てきている。

 当該事業の意義が薄れてきている今日、今後の運動の進め方や取り組みについて多くの皆さんからの声をいただきながら進める方向を見つけていきたいと本集会を企画いたしました。と述べた。

 その後集会は、共同代表である柏村忠志土浦市議、浜田篤信霞ケ浦生態系研究所所長の両氏から、霞ケ浦導水事業を考える県民会議が2001年2月24日に 三回目の事業工期変更に伴い、同事業を中止させるために結成された経緯を含め、霞ケ浦導水事業工期変更と事業の進捗状況の報告。

 参議院議員の質問主意書による導水事業の各工区進捗状況及び支出工事費についての報告。

 2001年4月20日の茨城県監査委員への監査請求と2001年7月13日に県知事に対し「損害賠償等請求事件」を共同代表の4人で起こしたが、2003年12月25日に水戸地方裁判所は「請求を却下」した。

 これらの取組について検証をする形で報告を行われた。

 続いて、霞ケ浦導水事業で那珂川からの導水で漁業者との連携に取り組んできている労働組合の茨城共同運動(県民要求実現茨城共同運動連絡会)の吉井孝二事務局次長が「税金の無駄遣い」の立場と漁民との連携について、これまでの経緯が報告された。


原発事故後の状況


国連が調査発表する

 昨年の11月に来日し、福島原発事故後の人権状況を調査していた国連「健康に対する権利」の特別報告者のアナンド・グローバー氏が5月27日、国連人権理事会(ジュネーブ)での調査内容を以下のように報告し、日本政府に対する勧告を発表しました。


年間1mSv以下の基準に

 「健康への悪影響の可能性は低被ばく線量では存在しており、年間被ばく線量が1mSv以下及び可能な限り低くなったときのみ、避難者は帰還を推奨されるべきである。」

(注:日本政府は「年20mSv」を基準とした避難政策を採用しました。これにより、多くの被害者が、「自主的避難」の名のもとに、賠償のあてもない避難 を強いられました。さまざまな事情から避難したくても避難できずに高い汚染地域での生活を強いられている方々もたくさんいます。)


包括的健康検査を長期に

 「全般的・包括的な検査方法を長期間実施するとともに、必要な場合は適切な処置・治療を行うことを通じて、放射能の健康影響を継続的にモニタリングすること。

 1mSv以上の地域に居住する人々に対し、健康管理調査を実施すること。

 子どもの健康調査は甲状腺検査に限らず実施し、血液・尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大すること。」

(注:福島県県民健康管理調査に対しては、調査の対象が狭く、内容も不十分で、情報開示にも問題があることを多くの住民、専門家や弁護士が指摘してきました。)


国として責任を持て

 「避難地域・公衆の被ばく限度に関する国としての計画を、科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく、人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1mSv以下に低減するようにすること。」

(注:昨年6月に制定された「原発事故子ども・被災者支援法」の基本方針は未だ策定されておらず、実施されていません。)


霞ケ浦を放射能から守ろう


市民の集い

 「いのちの水・霞ヶ浦を守る市民ネットワーク」では5月14日に1万7417筆の署名を茨城県に提出しました。

 初めての県との交渉も行い「霞ヶ浦の放射能対策の具体化」の要望を行ってきました。行動については集会で報告をする予定であります。


霞ケ浦を放射能から守ろう集会

報 告:第3回霞ヶ浦モニタリングの報告
報告者:NPOアサザ基金
  河川から霞ヶ浦に移動する放射能汚染の実態を凝集剤を使用してリアルに調査について
講演 :3・11後の社会における市民放射能測定所の役割について
講師 :菅波完(すがなみ たもつ)氏
  高木仁三郎市民科学基金事務局
  「柏崎刈羽・科学者の会」事務局長
  脱原発弁護団全国連絡会事務局
  有明海漁民・市民ネットワーク事務局長
日時 :6月22日(土)午後2時開演
会場 :霞ヶ浦環境科学センター(土浦市)
主催 :いのちの水・霞ヶ浦を守るネットワーク




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