つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2015年10月27日 第959号 発行:新社会党つくば支部

さようなら原発
     さようなら戦争


 一ヶ月前(9月23日)東京の代々木公園で「さようなら原発 さようなら戦争」全国集会が開会され2万5千人が集いました。
茨城からも多くの参加者があり、渋谷までデモ行進しました。

 集会では、大江健三郎をはじめ各氏が発言し、最後に鎌田慧氏は、安倍政権が戦争法案を強行可決した19日に毎月、脱原発・戦争法発動阻止の行動を全国で取り組み、来年3月26日には10万人集会を成功させようと呼びかけ、万雷の拍手で確認されました。


川内原発
”大事故”の危険


三菱重工製の蒸気発生器

 ジャーナリストの桐島瞬氏の注目すべき記事を週刊朝日9月18日号より抜粋します。

 三菱重工製の蒸気発生器の欠陥が原因で廃炉になったとして、米電力会社が同社に約9,300億円もの巨額賠償を請求したことは記憶に新しい。
だが、問題は再稼働したばかりの川内原発の原子炉も同じメーカー製だったこと。大丈夫なのか。

 発端は、2012年1月。カリフォルニア州サンオノフレ原発3号機で、交換後の蒸気発生器の配管から放射性物質を含む水漏れ事故が起きたことだった。


米国でNOと言われた炉と同じ

 蒸気発生器とは加圧水型原子炉に備わる装置で、タービンを回して発電するための蒸気を作り出す重要なもの。
それが新品に交換した後に故障したのだ。
同原発を運営する南カリフォルニア・エジソン社は、装置内に張り巡らされた伝熱細管と呼ばれる管が異常摩耗していたことが原因だったと断定。
定期点検中の2号機にも同様の摩耗が見つかった。
米国でこの問題を取材していたジャーナリストの堀潤氏が解説する。
「米原子力規制委員会(NRC)の調査では、問題となった三菱重工業製の蒸気発生器の1万5千カ所以上に異常な摩耗が見つかったと報告されました。 (中略)


安全性が確保できない

 原子炉停止に追い込まれたエジソン社は早期再稼働を目指すが、周辺住民が反発。
NRCも安全性が確保できないとして再稼働許可を与えず、13年6月にサンオノフレ原発は廃炉の選択を余儀なくされる。(中略)

 問題は三菱重工製の蒸気発生器が、再稼働した川内原発の加圧水型の原子炉(同社製)にも採用されていることだ。

 三菱重工によると、同社がいままで納めた蒸気発生器は122基。
「サンオノフレ原発と同一仕様の蒸気発生器は他の原発に納入されていない」という。


配管の多くに穴

 だが、トラブルを起こすリスクはあると指摘するのは、川内原発再稼働の異議申し立てを原子力規制委員会に行った山崎久隆氏だ。

 「九州電力が公表した資料によると、7年前に交換した川内原発1号機の蒸気発生器にはすでに35本の配管(伝熱細管)に穴が開きかけて施栓をしています。これが30年間使い続けている2号機の装置になると、栓をした本数は400カ所を超える。加えて古いタイプの装置は改良型に比べて配管に応力が集中しやすく、大きな地震が来たら耐えられない危険さえあるのです」


薄い配管に加圧された熱水

 蒸気発生器は、熱交換効率を上げるために配管の厚みがわずか1.1㎜から1.3㎜ほどしかない。
常に加圧された熱水が管の中を流れているため、時間の経過によって摩耗し、穴が開くリスクも高まる。
「常時どこかに穴が開いていて、定期点検で塞ぐ」(原発エンジニア)といわれるほどだ。
摩耗した配管が裂けて高圧水が漏れだすと、重大事故につながりかねない。


10秒内に40本が連鎖破断

 原発の危険性を訴え続ける作家の広瀬隆氏も「加圧水型の原子炉は高い気圧をかけた水を蒸気発生器に送るため、配管破断のリスクがある」と話す。

 「摩耗したどこかの配管が破れて水が噴き出すと鉄砲玉のように隣の配管を壊し、連鎖反応で一気に破壊される。1987年にイギリスの高速増殖炉で起きた事故では、10秒未満で40本の配管が連鎖破断しました。91年に起きた美浜原発2号機の事故は、蒸気発生器から噴き出した高圧水で配管がスパッと切れたギロチン破断だったのです」

 蒸気発生器の配管が破損すると、1次冷却水が圧力の低い2次側へ急速に漏出する。
つまり原子炉の冷却水が失われ、メルトダウンにつながる危険性をはらんでいる。
事実、美浜原発の事故では20㌧以上の冷却水が漏れ、炉が空焚き状態になりかけたと言われた。

 このように蒸気発生器のトラブルは深刻な事故につながるため、慎重な安全対策が必要。
だが高価で大がかりな装置の上、取り換えにも時間を要するため、補修費用がかさむか、施栓が増えて定格出力ダウンにでもならない限り交換はしない。
全部で1万本程度ある配管の18%程度が施栓で使えなくなると交換時期ともいわれる。


川内原発は400箇所に栓

 その一方、再稼働を急ぐあまりか、耳を疑うような出来事もある。

 九電は400カ所以上に栓をした川内原発2号機の古い蒸気発生器を交換するため、新品を準備済み。
だが、変えずに再稼働するという。九電はこう主張する。

 「信頼性向上の観点から14年度の取り換えを計画していたが、新規制基準適合への作業などがあり、ひとまず交換せずに再稼働を目指すことにした。現行の蒸気発生器は非破壊検査をして健全性を確認している」だが、前出の山崎氏は「新しいものを発注したのは、九電が交換する必要があると判断したから。これでは安全軽視以外の何物でもありません」と批判する。




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