27市町村が縮小
経済的に苦しい家庭の小中学生に、学用品の購入費や給食費、修学旅行費などを補助する「就学援助」の対象が今年度は、27市町村で縮小された。
文部科学省が6日発表した調査結果で明らかになった。
17市町だった昨年9月より多く、補助を打ち切られた子どもが増えた可能性がある。
小中生の15.42%
就学援助は、生活保護世帯と、それに準じて生活が困窮している「準要保護」の子どもが対象。
約151万5千人とされ、小中学生全体の15.42%を占める(2013年度)。
生活保護世帯には国が補助。準要保護については、市区町村が平均で年7万円相当を補助する。
対象者は、生活保護を受ける所得基準(4人家族で年収約230万円)を使うなどして市区町村が決める。「生活保護の所得基準の1.3倍」が一例だ。
文科省によると、全国の6割に当たる1,067市区町村が生活保護の基準をもとにしている。
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安倍政権が基準改悪
ところが、政府が13~15年に3段階で生活保護の総額を抑えるため、所得基準を下げ、対象者を減らした。
連動して準要保護の対象も狭まり、補助が受けられない子どもが出ないように、多くの自治体は基準を見直した。
一方、大阪市(13年度の準要保護の就学援助対象者数約4万2千人)、福岡市(同約2万7千人)、川崎市(同約7,600人)など27市町村(同計約12万人)は今年度、影響が出るかもしれない子がいるのにこうした対応を取らなかった。
文科省は、13年から今年4月まで7回、影響が出ないよう対応を求める通知を出した。
安倍政権が補助削減
川崎市では、前年度の基準では対象に含まれた小中学生258人(8月末)を認定しなかった。
家計が急に厳しくなった場合は再申請を認めるため、9月末までに125人を認定した。
市教委は基準を維持することについて「財政的に厳しい。個別に相談したい」と話す。
準要保護への補助は、国から市区町村に出ていた補助金が04年度までで打ち切られ、「財源がない」という不満の声もあるという。(朝日新聞デジタル2015年10月10日より)
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