つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2017年1月24日 第1,012号 発行:新社会党つくば支部

福島原発の自主避難者の支援が打ち切られる


 東京電力福島第一原発の事故は、3月11日に発生から6年目を数えます。

 原発事故は事故収束の見通しも立っておらず、政府の原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていません。

 政府の原子力災害対策本部は、2015 年 6 月「福島復興加速化指針」のもとに、帰還困難区域を除き、いまだ空間線量が高く国際基準では居住不可能とされている避難指示区域を遅くとも 2017 年 3 月までに解除し、精神的賠償を 2018 年 3 月打ち切りという方針を打ち出しています。そのことは原発事故被害者にとっては、大きな打撃になっています。

 また、福島県及び内閣府は、現在実施されている避難指示区域外からの避難者への無償住宅提供を 2017 年 3 月に打ち切ると発表しました。その後、福島県が公表した「避難者に対する帰還・生活再建に向けた総合的な支援策」も、区域外からの避難者に対する民間賃貸住宅への家賃支援の対象を狭め、低い補助率でわずか2年間で支援で終えようとするものであります。

 この間、多くの自主避難者と言われる区域外避難者は、放射性物質による汚染から遠ざかるために、自ら大きな環境変化と経済的負担に耐え見知らぬ土地で生活をし、今も避難の継続を希望しています。

 自主避難者は避難指示区域指定の解除により、本来は強制避難者であるべき方々が自主避難者にされるため、増え続けることになります。



(過去に行われた報告会より)

 自らは何の過失もないのに、原発事故のために故郷から逃れてきた避難者の支援を打ち切るのは、人権無視の行為ではないでしょうか。

 避難者の生活の最も重要な基盤となる住宅への支援策は、長期にわたる放射性物質による汚染という原子力災害に対処するため、災害救助法ではなく、原発事故子ども・被災者支援 法に基づく抜本的な対策や新たな法制度を作る必要があります。


つくばでも自主避難者の支援を

 現在実施されている避難指示区域外からの避難者への無償住宅提供を今年の3月で打ち切られる問題について、茨城県南地域で活動しているグループによる「福島原発事故避難者支援・茨城の会」が新たに結成され、「茨城の会」では昨年末の23日に土浦市内で避難者家族を招いてクリスマスパーティーが25名の参加で開催された。

 パーティーの開催に先立ち避難者からの悩みなどの声を聞く場を設ける中で、無償住宅提供を今年の3月で打ち切られることなく継続的に支援を求める声が多く寄せられた。

 「茨城の会」では、自主避難者が生活をしている自治体に自主避難者が生活している現状を訴えようと昨年末の26日に自主避難者と支援団体の「福島原発事故避難者支援・茨城の会」の代表がつくば市長に今年の4月からの生活基盤の支援を行った。


自主避難者がつくば市長と面談

 避難区域外から避難してきた家族に無償で提供してきた住宅政策を今年の3月末で利用していた公務員住宅を退去するよう自主避難者に要請されていたが、昨年の12月26日の市長面談前の22日付けで、やむを得ない事情がある場合は、2年間に限り継続して住むことができると通知が届いた。これまで無料で支援を受けていた家賃が有料となり負担が生じることになる。


つくば市議会では被災者支援延長の意見書を国に提出する

 12月議会で採択された意見書は以下のとおりであり、金子さんは提案賛成議員です。

原発事故避難者の住宅支援延長について
緊急な対応を求める意見書

 東京電力福島第一原発の事故は、発生から約6年になりますが、事故収束の見通しも立っておらず、政府の原子力緊急事態宣言はいまだに解除されていません。
 しかし、政府の原子力災害対策本部は、2015年6月「福島復興加速化指針」のもとに、帰還困難区域を除き、いまだ空間線量が高く国際基準では居住不可能とされている避難指示区域を遅くとも2017年3月までに解除し、精神的賠償を2018年3月打ち切りという方針を打ち出しました。原発事故被害者にとっては、大きな打撃になっています。
 また、福島県および内閣府は、避難指示区域外からの避難者への無償住宅提供を2017年3月に打ち切ると発表しました。その後、福島県が公表した「避難者に対する帰還・生活再建に向けた総合的な支援策」も、区域外からの避難者に対する民間賃貸住宅への家賃支援の対象を狭め、低い補助率でわずか2年間で終えようとするものです。
 この間、多くの自主避難者と言われる区域外避難者は、放射性物質による汚染から遠ざかるために、大変な環境変化や経済的負担に耐え見知らぬ土地で生活をし、今も避難の継続を希望しています。
 自主避難者は避難指示区域指定の解除により、本来は強制避難者であるべき方々が自主避難者にされるため、増え続けることになります。自らは何の過失もないのに、原発事故のために故郷から逃れてきた避難者の支援を打ち切るのは、人権無視の行為ではないでしょうか。避難者の生活の最も重要な基盤となる住宅への支援策は、長期にわたる放射性物質による汚染という原子力災害に対処するため、災害救助法ではなく、原発事故子ども・被災者支援法に基づく抜本的な対策や新たな法制度が必要です。
 よってつくば市議会は、政府と福島県と茨城県に対して、以下の緊急対応を強く求めます。

  1. 原発事故による自主避難者のそれぞれの事情を斟酌して、適切で十分な支援策を講ずるとともに、平成29年3月末までの退去を弾力的に扱うこと。
  2. 国家公務員住宅に現在居住中の自主避難者の居住継続を保障すること。
  3. 国の責任を定めた「原発事故子ども・被災者支援法」に基づく、抜本的・継続的な支援制度を確立すること。

以上、地方自治法第99条の規定に基づき、意見書を提出する。

平成 28 年 12 月 22 日
つくば市議会

(提出先)
内閣総理大臣 福島県知事 茨城県知事




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