つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2017年5月16日 第1,028号 発行:新社会党つくば支部


自主避難者1万世帯

 福島県の発表によると、自主避難者は16年10月現在、1万524世帯、2万6,601人(うち県外避難5,230世帯、1万3,844人)に上っており、自主避難者の約7割が今年の4月以降の住居が決まっていないということでした。

24都道府県で独自支援

 『読売新聞』の調べでは、自主避難者が生活している46都道府県では、24都道府県が何らかの独自支援を行なうことを決め、3県が検討中ということです。

避難指示解除は被ばく強制

 現在安倍首相が強行している避難指示解除は、20m㏜以下で安全というのが解除理由にされているのですが、安全などというのはまったくのフェイク=まやかしです。

チェルノブイリ事故では

 皆さんご存知のチェルノブイリ事故では、日本と比べて経済的にもかなり貧しいあのウクライナにおいても、事故から5年後に「チェルノブイリ法」を成立させ、被ばく年間線量5m㏜以上は強制移住ゾーン、1m㏜以上5m㏜未満は移住権利ゾーンと定め、住民の生命と健康を放射線被ばくから守るために、はっきりとした基準と政府の責任を示したのです。
これは、ロシアでもベラルーシでも同様です。
5m㏜以上は住んではいけない居住禁止区域、1m㏜以上は移住する権利を認め、政府が移住を保証しているのです。ウクライナなどと比較して、はるかに経済的に豊かと豪語するこの日本では、しかも事故後5年ではなく6年もたっても、いまだに住民に20倍の年間20m㏜の放射線被ばくを強制し、住んではいけない所に、住むことを強制しているのです。

 しかも、庭に防風林がある住宅では庭先の放射線量が高いままで、住宅の近隣の野原や林、山など面積の圧倒的に広い部分ではまったく放射線量は下がっておらず、年間20m㏜どころではないのです。

小児甲状腺がん患者は183名

 事故の収束はほど遠く、土壌の汚染は依然として高く、小児甲状腺がん患者は183名に達しています。
ウクライナなどの強制移住ゾーンつまり住んではいけない所に、避難指示解除つまり住むことを強制するというのは、人の生命と健康をまったく無視するものと言わざるを得ません。
そして、避難指示解除とセットになっているのが、現在問題になっている自主避難者に対する住宅補助打ち切りです。

自主避難は当然の権利

 自主避難者というと、自分勝手に避難した人という誤解をしている人も少なくありません。
しかし本来、政府が住むことを禁止し、移住することを保証すべき責任を果たさず、あろうことか住むことを強制するというでたらめな状況の中で、避難することは当然の権利であり、とりわけ子どもたちに対する当然の義務でもあります。
自主避難者たちに対する支援を強める必要があります。


市でできる支援策は

 3月議会で金子議員は、市でできる支援策を質したが、総務部長は住宅確保の立場から市営住宅の優先入居や支援要望など県を通じて福島県に伝えるなどの答弁でありました。

 国策の原発事故被害者・避難者の立場を重視した支援の実現を強く求めた。


自治体職員の自殺多発


 3/8毎日新聞によると、自治労福島県本部は7日、今年に入って2月末までに県と市町村の職員計5人が自殺したと発表した。
昨年4月からの自殺者数は9人。県本部は、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う業務量の増加が要因の一つになっていると分析する。

 県本部は、自治体職員の相次ぐ自殺に危機感を持ち、自殺者数を初めて発表した。
今年度の自殺は、市町村職員7人、県職員2人で、ここ10年間でも高水準。35歳未満が4人を占め、若年層の自殺が目立つようになったのが気がかりという。

 県本部は、心身の不調を感じた場合は、東日本大震災と熊本地震の被災自治体職員向けの「自治労ほっとダイヤル」(電話0120・556・283)に相談するよう呼びかけている

原発事故対応でストレス

 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故に伴う除染問題などの難問を多く抱えての‘業務(職場)ストレス’が主な原因であるといわれている。
住民から絶え間なく来る原発損害や除染問題関連の苦情や問い合わせでノイローゼになっているとも。

 そのため、その部署は全職員の鬼門であり、移動で回ってきたことだけで精神状態が不安定になり顔色が変わるそうだ。
それに対し、それをケアーする組織や人材への力の入れ方はほぼ無いに等しいというのが現状。
もう一つの震災の被害とも言える。




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