つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2018年7月10日 第1,082号 発行:新社会党つくば支部

東海第2原発再稼働申請のうちの「設置変更申請」が新規制基準に適合を認める


7月4日の原子力規制委員会で、東海第2原発についてなされている申請のうちの「設置変更申請」が新規制基準に適合していることを認める審査書案を公表しました。

 本日の出来事は「一通過点」に過ぎません。「決まってしまったこと...」とあきらめたりしないでいただきたいのです。

 脱原発ネットワーク茨城の共同代表の小川仙月さんから次のようなメールをいただきました。

 今回の東海第2原発の審査書案公表時点で、前記の川内等の同じ状況と比べると、「不確定要素」があまりに多すぎるのです。

3つ挙げますと、

  1. 「工事計画」の書面が未完のまま
  2. 資金計画の実態が不確定のまま
  3. 立地周辺自治体の同意が得られない可能性

 このうち特にここで申し上げておきたいのは、2の資金計画の実態です。報道でご存知と思いますが、現実に東海第2原発が再稼働する条件を作るには、対策工事等に、1,800億~2,000億円の資金が必要。テレビのニュースを見ていると、「原電は東電からの資金支援にめどがついた」と、あまり考えないニュース原稿が読まれていますが、実態はそう簡単な話ではありません。 ここには登場人物が4人いますのでそれぞれの現在の発表を簡単な言葉で整理してみますと

  • 原電「東電がお金を貸してくれると言ってくれました」
  • 規制委(東電に対し)「原電から『東電がお金を貸してくれることになりました』と聞いたが、本当か」
  • 東電「たしかにそのような意向を表明している。しかしそれは諸々の条件がきちんと整っての話ですね。法的拘束力があるような約束はしてない」
  • 規制委(経産大臣に対し)「東電が原電にお金を貸す話がある。賠償と廃炉を第一に考えなきゃならない企業がそんなことをして本当にいいのか」
  • 経産大臣「それは電力会社の『経営判断』ですね」

 規制委と経産省(大臣)は責任を押し付けあっているように見えますし、東電は何を言っているのかよく分かりません(実際にこれのもとになる原文は何度読んでも意味がよく分からない)

 つまり、原電は東電から資金援助してもらう確約は取れていない可能性が大です。

 相手側も今日でハードル一つを越えたとは言えないと私は思っています。3の周辺自治体の同意についても先日の水戸市議会の意見書決議は大変高いハードルを設定できた。これも多くの方があきらめずにできることを続けたからだと思います。繰り返しますが、本日の出来事は「一通過点」に過ぎません。

 あきらめずにやっていきましょう。


原子力規制委員会への申し入れ


原子力規制委員会
委員長更田豊志殿

 東海第二原発の新基準「適合」との判断に対する抗議・申し入れ書原子力規制委員会は2018年7月4日の会議で、日本原電が提示した東海第2原発・設置変更申請が新規制基準に「適合」していると発表しました。

 私たち・原発いらない茨城アクション実行委員会はこの発表に強く抗議します。

 2014年以降続けられた東海第2原発の審査は内容的にも、またスケジュール的にも、非常に「無理」があると考えます。

 そもそも新規制基準で難燃性ケーブルを義務付けているにも関わらず、非難燃性ケーブルに防火シートを巻くことで同等の機能が得られることを了承した点は「無理」の最たるものです。

 また2018年11月27日を期限とする複数の審査のスケジュールも日本原電の書面提出の遅れに原子力規制委員会が「のまれる」状態になっており、大きな「無理」が生じた審査になっています。

 この「無理を通す」状態の下で、東海第2原発・設置変更許可申請を了承とするのは「規制」ではなく「現状追認」ではないでしょうか。

 国会事故調査委員会が福島原発事故の構造的な原因を、「当時の規制当局が電気事業者の『虜(とりこ)』となっていた」と断じたことをいまこそ想起しなければなりません。現在の原子力規制委員会は再び電気事業者の「虜」になりつつあると考えます。

 以上、今回の発表に強く抗議するとともに、今後に向けて次の点を要望します。

【要望事項】

  • 原子力規制委員会本来の「規制」の姿勢を取り戻してください。
  • 東海第2原発に関し茨城県民をはじめ国民から提示されるすべての公募意見に真摯に向き合ってください
  • 今後続く東海第2原発の審査においても、スケジュールありきの安易な判断をしないでください。

以上

抗議・申入れ団体:原発いらない茨城アクション実行委員会
連絡先:茨城県水戸市大工町3-4-24 話:029-221-6811 )

*以下、抗議・申入れ団体48団体連盟 脱原発ネットワーク茨城/ 茨城平和擁護県民会議/ さよなら原発いばらきネットワーク/ 茨城県2平和委員会/ 脱原発とうかい塾/ 原発事故からくらしを守るネットワーク/ さよなら原発ひたちなか市実行委員会/ 原電いばらき抗議アクション/ 東海第二相談会/ リリウムの会/ 原発いらない牛久の会/ 原発とまちづくり研究会/ 常総生活協同組合/ 希望のたね・みと/ 憲法を生かす会・茨城/ ひたちなか平和フォーラム/ 水戸平和フォーラム/ かさま平和フォーラム/ 筑西平和フォーラム/ 県西平和擁護市民の会/ 反核平和原水禁鹿行会議/ I女性会議茨城/ ひたちなか平和フォーラム/ 石岡平和の会/ 石岡地域憲法9条の会/ 新石岡市を考える市民の会/ 「日本と再生」を観る会/ 生活クラブ生協茨城地域くらぶチームさくら台/ 環境学習同好会/ この指とまれ/ つくば市民放射能測定所/ 安保法制に反対する筑波大学有志の会/ 新日本婦人の会東海支部/ 茨城保養の会/ 未来への風いちから/ 茨城有権者の会/ 東海第2原発の再稼動を止める会/日本共産党茨城県委員会/ 日本共産党茨城県議団/ 新社会党茨城県本部/ 社会民主党茨城県連合/ 社会民主党水戸総支部/ 放射能から市民を守る会・高萩/ 反原子力茨城共同行動/ 平和擁護土浦市民会議/ 茨城県原発を考える会/ 福島応援プロジェクト茨城/ 戦争をさせない茨城県1000人委員会/

以上の48の団体・連盟が抗議の申し入れを行いました。




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