つくば市議会議員 金子かずお
週刊・新社会つくば 金子さん町を歩く 議会報告

週刊・新社会つくば
2019年6月25日 第1,126号 発行:新社会党つくば支部

元文部科学省事務次官・前川喜平氏の講演会


こども☆いのち☆ゆめ

 元文部科学省事務次官・前川喜平氏の講演会が6月8日、「こども☆いのち☆ゆめ」と題して牛久市内で開催されました。

 前川氏の講演は、自治体によっては後援を拒否するところもあるが、勇気ある後援に敬意を表しますとの、冗談から始まりました。


学ぶことの大切さ

 人間は学ぶことが大切で、これが他の動物との違いです。そして、学ぶことが保障されなければ、人間らしく成長できません。

 憲法第26条は「教育を受ける権利」を保障していますが、「学ぶ権利」はもっと広い概念です。学ぶ権利=学習権は、自由権と社会権の複合的な人権です。学問の自由も、学者などだけの話ではなく、すべての人が、何をどこで学ぶかも自由であるべきです。社会権としては、国が学ぶ権利を保障する義務があります。


立憲主義とは

 立憲主義とは、国民が憲法を作って、国を縛る、国に守らせるルールのことです。安倍首相が言うような、国が憲法を作って国民に守らせること、ではないのです。
その意味では、憲法に国民の義務は不要です。国民の義務は、法令で定めれば良いことです。「義務教育」という表現も不適切で、「無償普通教育」を提唱しています。


不登校の増加

 不登校は、第1次安倍政権から増加しています。教育基本法が改正され、学校が息苦しいものになったことが背景にあります。

 明治以来の教育は、「国のために役に立つような教育」でした。「就学免除」などというのが今でも使われていますが、要は、役に立たない者は教育しなくて良いと言うことです。
教育勅語などは最たるもので、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」などと、露骨に天皇のために尽くすことを教育の目的に示しています。

2016教育機会確保法

 不登校は「学びのミスマッチ」と考えている。不登校の責任は学校にある。子どもの自殺など、危険なら、登校すべきではない。

 2016年に教育機会確保法が成立し、不登校、夜間学校などへの支援の方向が出された。夜間中学の対象は、当初の学校に行けない子から、行けなかった子、中国・韓国の子、不登校児、渡日外国人児と変化してきている。ダブルアイデンティティによる、多文化共生社会をめざすべきだ。


上水道の民営化を考える

 上水道の運営権を民間に委託する「改正水道法案」いわゆるコンセッション方式が昨年の臨時国会で成立しました。民営化は施設を市町村が所有したまま、長期的にわたり運営権を民間企業に売却する方式であります。
私はこの制度については賛成をしかねる立場を表明したいと思いますが、国内ではこの取り組みは今ひとつ進んでいないのが現状であり、外国の例を見ても一時期民営化した自治体で再公営化されてきているケースが出てきていることは先ほども申し上げましたとおりであります。

 民営化で見落としてならないのは、水道は1本の水道管をつなぐことで1地域につき1社独占になります。サービスの質や価格の安さで利用者をひきつける競争が存在しない。同じインフラの電力では、複数の電力会社が一つの送電網を共有して電気を流す仕組みなので多少競争が働いています。

 さらに、問題なのが2018年5月、企業に公共水道の運営権を持たせるPFI法を促進する法律が可決しました。この中で、見過ごせないのが「上下水道や公共施設の運営権を民間に売る際は、地方議会の承認不要」という特例も法律に盛り込まれました。これで、議会は手出しできなくなります。

 加えて問題なのが、災害時に水道管が壊れた場合の修復も、国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業でなく、自治体が責任を負うことになったことであります。これから水道管の老朽化による改修費も多くなることが予想される。もし導入されたら大変な負担を背負い込むことになるのではないかと思われますので指摘をしておきます。





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