「東海第2原発の「老朽化」とは?」
8月28日、服部成雄氏(元日立製作所 原発技術者)による講演会を、脱原発ネットワーク茨城がオンラインで開催し、金子議員も幹事として参加しました。講演の内容は以下の通り。
時間とともに原子炉圧力容器が老朽化し劣化する。中性子が圧力容器の金属原子に衝突し、金属原子の配列を乱す(傷つける)ことによって、圧力容器の照射劣化が起こるのだ。
特に、炉心燃料に近く、中性子照射が多い圧力容器の部位=ベルトラインが影響を受けやすい。金属は高温で延性(粘り強さ)が強く、低温になると脆性(もろさ)が強くなるが、その急激な変化を示す温度域(遷移温度)が上がり、なおかつ高温でも脆性が強くなる。
現在の安全管理は節穴だらけ
現在、その内面に炉壁監視試験片を入れたバスケットを3〜5個設置し、計画的に取り出して試験(照射脆化度試験)しているが、重大な問題がある。第1に、ベルトラインにはいろんな溶接部材があり、特にノズル部は突起しているので、平面の試験片ですべての溶接部材を代表できない。第2に、東海第2原発の40年超の運転では、溶接熱影響部の視は不要になっているのである。
東海第2原発でもデータ偽造?
(原電は敦賀原発のデータ偽造が問題になっているが、)東海第2原発でもデータは謎だらけである。@1981年の第1回と2014年の第4回を比較すると、33年後の2014年のほうが粘性が高くなっており、A最も影響を受けるベルトラインの部位が他よりも粘性が強かったりしている。
敦賀原発2号機 A 原電がデータ捏造
東海第二原発のデータ検証も必要
新社会つくば版1225号でお知らせのとおりデータ捏造についても口先だけの「安全」でごまかす日本原子力発電(原電)の体質がまた顕わになった。以下に山崎久隆氏(たんぽぽ舎共同代表)の報告を紹介する。牛久市議会議員杉森弘之議員のニュースから。
4.事実解明しない規制庁
敦賀2号機原子炉建屋直下の断層は、規制委の専門家チームにより2013年5月に地震を引き起こす活断層と認定された。
原電は、これを否定しなければ原発が廃炉になることから、規制委の見解を覆そうとしてきた。その中でも地質データは審査の行方を左右する最重要資料である。
審査で活断層と確定すれば廃炉を免れないことから、それを回避するためにデータの偽造、ねつ造まで行っているとすれば、動機としてわかりやすい。
それに対して規制庁の事務局の聞き取り調査は、原電の言い分をただ並べただけで、聞き取り相手も不明確。審査会合での規制庁事務局と更田委員長とのやりとりだと、職責さえ委員に伝えられておらず、聞き取った先の「責任者」が、過去に審査会合に出席したことがあるから事務局は即答できない。
さらに中間報告では、原電の聞き取り内容が事実かどうかさえ明確に出来ておらず、原電の主張についても何ら具体的根拠を示しておらず、検査の体を成していない。これに対して更田豊志委員長以下、異論が続出。検査手法についても見直すべきとされたのである。
5.原電が東海第二再稼働?
規制委の委員から「東海第二原発」について言及があったことは非常に大きい。
敦賀原発2号機の審査で起きたことが「東海第二原発」の別のフェーズにおいても発生していた可能性があるとして、「東海第二原発」で行われた審査の資料を全部見直すべき事を意味している。同じ会社だから、同じ事を繰り返してきたと疑ってかかるべきだ。
この種の審査を「性善説」でしてはならないことは、福島第一原発事故の重大な教訓のはずである。審査において文書の偽造は、明らかな不正行為であり、これだけで審査打ち切り、敦賀原発2号機は再稼働不許可にすべきだ。
さらに石渡委員らは「敦賀原発2号機の審査が続けられなくなった場合、東海第二原発で残っている書類確認などを進めるのはどうなのか」など、東海第二原発の再稼働に必要な手続きにも影響する可能性を示唆した。(NHK7/28)
審査会合では、「このように、敦賀2号機の審査資料作成においては、柱状図の位置づけに対する関係者の認識の違いがあったことや、肉眼観察及び薄片観察による膨大な破砕帯に係るデータを処理するために必要な業務管理が適切に実施できていなかったことが確認された。」とする「検査の実施状況」の結論を含めて、結論は先送りされた。私たちも、原電という会社の構造的な問題として、いずれの原発も審査を打ち切ることを求めていこう。
(原電は、来年の2022年8月か9月に「東海第二原発を再稼働させたい」と発表している。)
おわり